家族にもケア?統合失調症はじめての入院 (シリーズ・ともに歩むケア) 新品価格 |
参考になった度:★★☆
この本は医療機関の専門職(主に看護師)が当事者の家族ケアの際に参考とするため本で、思っていた内容とは異なりましたが、それはそれで参考になりました。
p48 消耗期の面会での対応
幻覚や妄想が少し薄らいだ様子を見ると、「もう幻聴は何もいってこないの?」とか「もうあんなばかげたことは考えないようにしなければ」など、症状の有無を確認したり症状を批判しがちです。家族としては、一山越えたという安心感もあってかけた言葉であっても、本人はこのような言葉でまた症状が気になることがあります。本人が話題にしないかぎり、そっとしておくほうがよいでしょう。
正直、妄想や幻聴の有無はすごく確認したいし、発症時の記憶があるのかも聞いてみたい。でもこちらから聞かない方がよいそうなので気を付けなくては…。
P53 回復期に気をつけること
外から見える興奮や攻撃性は改善してるので、「もう治った」と判断しがちですが、以前楽しめたことに興味が向かなかったり、気力がなかったりという無気力状態は珍しくありません。なかには、精神科病院に入院したことを非常に恥だと思ってしまったり、久しぶりに現実に接して急に将来に対する不安が出てくる場合もあります。
「病気になってしまった」という事態を受け入れるのは、患者さんにとっても家族にとっても時間がかかります。
退院後にこれになりそうな気がする。思い描いていた将来を方向転換せざるをえなくなった時に、本人が病気を受け入れて乗り越えていけるのか心配です。
P109
家族の接しかたを変えても患者さんが急に良くなるものではありません。むしろ、家族の役割は「患者さんをよくする」のではなく、「患者さんの回復を妨げない」ことにあります。
息子が病気になってしまった事に責任も感じるし、良くなるように尽力したいが、家族が気負いすぎて空回りしないようにしたい。
P127 回復した家族のあり方(白石弘巳)
■病気に対して
障害を残したり、完治しない可能性があることを知っている。一方で、なんとかなるという希望、何とかしたいという意思を持っている■本人に対して
優しさや温かさを持っている。一方で、厳しさを併せもっている■専門家に対して
専門家のサービスに感謝の気持ちを持っている。一方で、不安・不満・要求を表明することができる■自分に対して
本人と関わる決意をもっている。一方で、自分の人生の目標や楽しみをもっている■社会に対して
本人のため不必要なことはいわない。一方で、必要なら、本人のために行動し、要求を出す力、社会活動を行う力をもっている